No.120同一製品の各国向けIntended useについて

医療機器規制全般投稿者: YK2026年10月1日 23:40
全く同じ医療機器で、販売先国によってintended useが変わることはあり得ますでしょうか? 例えば、本来全く用途・構造・機能である医療機器でも日本・米国・中国など販売先国によってintended useが変わることがあり得るのではないかということを想定しての質問です。 これは規制面が関係しており、例えば日本であればJMDNの定義に合わせようとしますし、米国であればProduct Code、中国であれば中国の医療機器リストで説明されている内容にあわせた記載をしていくことが通例かと存じます。 この場合、同一製品であったとしても、Intended useの内容が必ずしも一致しない場合があります。 前提条件及び想定される状況として、次のことを考えています。 ・原産国を日本とします。つまり、各国での医療機器申請には原産国の自由販売証明書の提出が求められることが多いです。 ・取説の英語版は米国向けのものが主となるはずです。なぜならば、日本語取説を英訳するのではなく、もともと英語の取説を使った方が管理は楽です。(取説版数の管理と、米国とそれ以外の英語圏への販売で無理に分ける必要もなくなるため、なるべく英語版取説は米国向けの取説を使いたい) ・今回、米国以外の英語圏の国への申請が必要と仮定します。また、その国から原産国の自由販売証明書の提出を求められていると仮定します。 ・今回の対象国に対する医療機器申請では原産国(日本)の自由販売証明書を提出したとしても、その後、入札等で米国FDAからのCFGの提出を求められる可能性はあると思います。 質問①:申請や入札等において、Intended useの書き方や内容が若干異なる内容で審査承認が完了したそれぞれの国の自由販売証明書や登録証等を提出することは可能でしょうか? 質問②:上記質問①の対応が可能だった場合、申請先国に対する当該製品のIntended useは原産国(日本)又は米国(英語)のどちらに合わせるべきでしょうか?

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公式回答株式会社イーコンプライアンス2026年10月4日 03:38

同一製品における各国向け Intended use(使用目的)の相違について

結論

  • 同一のハードウェア・同一型式の製品であっても、各国の法定用語・分類名称・申請様式・翻訳の違いによって、Intended use(意図する使用/使用目的)の「文言」が異なることは起こり得ます。 日本の一般的名称(JMDN)、米国の Regulation Number/Product Code、中国の医療機器分類目録など、国ごとに独立した枠組みに文言を合わせる実務があるためです。
  • ただし、「文言の差」と「用途の実体の差」は区別が必要です。対象疾患・患者集団・使用者・使用環境・機能/性能といった実体が違う場合は、単なる表現差ではなく、国別仕様(別構成の製品)として規制上の評価が必要になります。
  • 質問①について: Intended use の記載が完全一致しない複数国の証明書(日本の輸出用証明書/米国 FDA の CFG など)を併せて提出できるかは、申請先当局または入札主催者の提出要件に依存します。 制度上禁止されていない場合でも、記載の不一致が「製品が違う/用途が違う」と評価されれば、補足説明・追加資料・再提出を求められます。無条件に「可能」とは言えません。
  • 質問②について: 「日本か米国のどちらかに合わせる」という二択ではなく、第一に申請先国の規制要求に合わせ、第二に提出する証明書の記載内容および各国で認められた用途範囲との関係を説明できる状態にするのが原則です。社内には共通の Core Intended Use(グローバルマスター文)を一本持ち、各国版をその派生として管理する設計が、ご提示の前提(原産国日本+英語は米国版流用+第三国申請+入札で CFG 要求の可能性)に最も適合します。

※ 本回答は一般的な規制実務の考え方の整理であり、特定の申請先国・製品クラス・規制経路に対する法的助言ではありません。申請先国名・クラス分類・JMDN/Product Code が特定されていないため、断定できない箇所はその旨を明記しています。

※ 正確な URL を確認できない文書(日本の輸出用証明書手続通知、FDA の輸出証明手続ページ、中国 NMPA の分類目録等)については、推測 URL を掲載せず文書名のみ記載しています。


0. まず用語を整理します(初心者向け)

本回答で「Intended use」と呼ぶのは、その製品が「誰に」「何のために」「どのような状況で」使われることを製造業者が意図しているかを示す概念です。同じ概念に対して、国ごとに異なる法定用語・記載欄が用いられます。

国・地域 用語/記載欄 性格
共通概念 Intended use / Intended purpose 製品の意図する用途を示す広い概念
米国 Intended use(21 CFR 801.4 に定義)、Indications for Use(Form FDA 3881 等) Intended use は表示・宣伝等から客観的に判断される概念。Indications for Use は申請・表示上の適応記載
日本 「使用目的又は効果」(承認書・認証書・届書の記載欄) 承認・認証・届出制度上の法定記載欄
欧州(MDR) Intended purpose(MDR 2017/745 第2条(12)) 製造業者が技術文書・IFU 等で定義し、自ら適合宣言
中国 「预期用途」「适用范围」 登録申請資料・登録証・説明書に現れる記載項目

→ したがって「文言が一字一句同じにならない」こと自体は制度の構造上あり得ます。

参考:21 CFR 801.4 Meaning of intended uses(eCFR)、Regulation (EU) 2017/745(MDR, EUR-Lex)


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1. なぜ国によって記載が変わるのか/どこまでの差なら「同一製品」か

1-1. 分類・名称体系が国ごとに独立している

国・地域 使用目的の記載が縛られる主な枠組み 補足
日本 一般的名称(JMDN)の定義、承認・認証・届出の「使用目的又は効果」欄、認証基準 当局・登録認証機関による市販前の承認/認証/届出
米国 Regulation Number(21 CFR Part 862〜892)、Product Code、規制経路(510(k)/De Novo/PMA/HDE/510(k) 免除) 経路により根拠文書が異なる(後述)
欧州(MDR) MDR Annex VIII 分類ルール、Annex I 第23章(表示・IFU)、EMDN 製造業者による適合宣言+(該当時)NB 関与
中国 医疗器械分类目录、产品技术要求、登録申請資料、登録証、说明书 分類目録は分類判断の一要素であり、最終的な用途は登録資料・登録証・说明书との整合で確認

※ 中国については「分類目録の文言に寄せれば足りる」わけではなく、製品技術要求・登録証・说明书・ラベルまで含めた整合が必要です。カテゴリーにより国内代理人、臨床評価、说明书要求が異なります。

1-2. 差異を3層に分けて考えると判断しやすくなります

層 内容 評価
第1層:文言・翻訳・様式の差 一般的名称に合わせた呼称、分類目録の表現への言い換え、法定様式に合わせた構文、記載順序、現地語訳 通常は許容される。ただし差異理由を説明できる状態にしておく
第2層:Intended use の内容の差 対象疾患・状態、患者集団(成人/小児等)、使用者(医師専用/一般使用者)、使用環境(医療機関/在宅)、診断/治療/モニタリングの区分 実体の差。範囲の広狭を特定し、エビデンス・登録範囲との整合を個別に検討
第3層:製品構成・設計・性能の差 ソフトウェアバージョン、付属品・消耗品、校正条件、電源・通信仕様、滅菌方法・包装、製造所、国別に有効化/無効化される機能、サイバーセキュリティ機能、ラベル・IFU 国別仕様(別構成)として扱うべきかの判断が必要

「同一製品」の判定は型式名だけでは不十分で、上記第3層の要素まで含めて行う必要があります。

1-3. 第2層・第3層の差が QMS 側に波及する点

国別の Intended use 差は、以下との整合確認が必要です(ISO 13485:2016 の該当条項)。

  • 4.2.3 医療機器ファイル(国別の表示・IFU・申請情報の管理)
  • 4.2.4 文書管理(国別バリアントの版数管理)
  • 7.3.3 設計・開発へのインプット(機能・性能・安全性・ユーザビリティ・適用される法令規制要求等を含め、曖昧さ・矛盾をレビューして解消する)
  • 7.3.9 設計・開発の変更管理
  • 7.5.1 製造およびサービス提供の管理(表示・ラベリング工程)
  • 8.5.6 変更の管理

リスクマネジメント(ISO 14971:2019)については、「intended use を起点にハザードを同定する」という単純な話ではなく、意図する使用、合理的に予見可能な誤使用、使用者、使用環境、患者集団、適用される安全性要求を明確化し、それらをリスクマネジメントプロセス全体に反映するという枠組みです。

※ ISO の該当ページは規格の書誌情報ページであり、規格本文は有償です。条項の具体的な解釈は入手した規格本文でご確認ください。


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2. 質問①への回答:記載が若干異なる各国証明書の併用提出は可能か

2-1. 結論(条件付き)

「制度上一律に禁止されているものではないが、提出できるか/受理されるかは申請先当局・入札主催者の提出要件による」が正確な回答です。無条件に「可能」とは申し上げられません。

判断に影響する要素:

  • 申請先国の法令・審査要件が「どの国の、どの種類の証明書」を要求しているか
  • 入札仕様書が指定する証明書の種類・発行国
  • 証明書の有効期間、原本性、公証・アポスティーユ・領事認証の要否
  • 提出資料間の製品同一性が説明できるか

2-2. 証明書ごとに「証明している事項」が異なることの理解が最重要

証明書 何を証明するか(一般的な性格) 何を証明しないか
日本の輸出関係証明書(いわゆる自由販売証明書・製造販売証明書等) 当該証明書の様式に記載された事項(製品名・製造販売業者・国内での承認/認証/届出の状況等)について、日本における状況を証明 他国での用途の適法性、他国での Intended use の同一性、他国で販売できること
米国 FDA の CFG(Certificate to Foreign Government、FD&C Act 第801条(e)(4) に基づく輸出証明) 対象製品が米国で合法的に販売できる状態にあることを、外国政府向けに証明 第三国の登録内容・第三国向け Intended use の承認、第三国での販売許可

重要な補足:

  • 日本の輸出関係証明書は証明書の種類ごとに様式・発行機関・発行要件・記載事項が異なります。 「自由販売証明書」「製造販売証明書」「輸出用証明書」を同義に扱うと、証明できる事項を誤認します。実務では使用する証明書の正式名称と記載項目を特定し、「日本の承認・認証・届出内容のうち、当該証明書に記載された事項を証明するもの」という限定を前提に運用してください。
    • ※ この手続を定める通知の正確な名称・発出番号を確認できなかったため、リンクは付していません。実際の申請時は、発行機関(厚生労働省/都道府県/関係団体等、証明書種別により異なります)の最新の案内をご確認ください。
  • CFG は、米国での法的販売状況が前提です。原産国が日本であっても、米国での規制経路(510(k)/De Novo/PMA/HDE/510(k) 免除等)が成立し、施設登録・デバイスリスティング等が整っていなければ取得できない場合があります。したがって「必ず提出できる」前提で入札計画を立てるのは危険です。
  • 片方の証明書が他方を代替するとは限りません。 申請先国が「原産国証明」を求めている場合に米国 CFG で代替できない可能性、逆に入札仕様が「FDA の CFG」を指定している場合に日本の証明書で代替できない可能性があります。

2-3. 実務上の備え(法的義務/推奨の区別を明示します)

# 施策 位置づけ
1 使用する証明書の正式名称・発行機関・記載項目を特定し、申請先国の要求と突き合わせる 申請先国の要求次第(必須となる場合あり)
2 製品識別情報(製品名・型番・モデル、製造業者名・住所、製造所)を全文書で一致させる 実質的に必須(不一致は用途差より深刻な照会要因)
3 Intended use 対比表(国/分類コード/公式文書上の原文/英訳/差異の理由/差異の層(第1〜3層))を作成 法令上の一律義務ではないが、文書間の不整合を説明するための実務上有効な管理方法
4 製造業者(legal manufacturer)名義の説明書・宣言書(Statement of Equivalence 等)を添付 同上(推奨。ただし申請先国が様式を指定する場合はそれに従う)
5 日本語証明書の使用目的の公式英訳を社内で固定し、管理文書として承認(必要に応じ翻訳証明・公証) 社内管理上の推奨(案件ごとに訳が揺れること自体が不整合に見える)
6 証明書に記載されない用途がある場合は、別の根拠資料(技術文書、リスク評価、臨床評価等)を準備 申請先国の要求次第
7 事前相談(pre-submission/当局照会)および現地代理人(Authorized Representative/License Holder)への確認 強く推奨

2-4. 「範囲の広狭」の扱い方(レビュー指摘を踏まえた補正)

よく語られる「複数証明書の共通部分(狭い方)に収めるべき」という考え方は、規制上の一般原則ではなく、照会リスクを下げるための実務方針です。重要なのは次の区別です。

  • 証明書の「記載範囲」が狭いこと(様式上、用途が要約・一部省略されている等)
  • 製品の「法的な用途範囲」が狭いこと(その国で認められた用途自体が限定されている)

この2つは別問題です。前者であれば、証明書とは別の資料(承認書・認証書の写し、技術文書、製造業者説明書)で補えることがあります。後者であれば、申請先国でより広い用途を申請する際に、追加のエビデンスや用途限定が必要になります。


3. 質問②への回答:日本に合わせるか、米国に合わせるか

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3-1. 原則(優先順位)

  1. 申請先国の規制要求(分類体系・名称定義・法定様式・言語要求)に合わせる ← 最優先
  2. 提出する証明書・根拠資料の記載内容と、申請する用途の関係を説明できる状態にする
  3. 申請する用途が、証明書発行国で認められた用途より広い場合は、追加資料・用途限定・事前照会などの対応を検討する
  4. 社内では Core(グローバルマスター)Intended Use を一本定義し、日本版・米国版・申請先国版をその派生(バリアント)として紐付ける

→ つまり「日本か米国か」ではなく、Core を中心に据えた国別派生管理が実務上の解になります。

3-2. ご提示の前提に即した整理

場面 推奨される考え方
申請先国の登録申請書の使用目的 申請先国の分類体系・様式に合わせた表現。内容(第2層)は Core の範囲内に収める
日本の輸出関係証明書を添付する場合 証明書に記載された事項の公式英訳と、申請内容との関係を対比表で説明。証明書が「他国での適法性」を保証しないことを前提に、不足分は別資料で補う
後の入札で米国 CFG を提出する場合 ① CFG を取得できる状態か(米国での法的販売状況)を事前確認 ② CFG 上の製品識別情報・米国での規制上の地位と、申請先国の登録内容との整合を説明できるようにする
英語版 IFU 米国版を英語のベース文書として使うことは可能だが、Core(グローバル共通)部分と米国固有部分を分離し、国別版を文書管理下で作成

3-3. 「包含関係」の具体例(第2層の判断)

米国での Indications for Use 申請先国で申請したい用途 評価
成人患者における疾患 A の診断補助 成人患者における疾患 A の診断補助 実体一致。第1層(文言・訳)の差として説明しやすい
成人患者における疾患 A の診断補助 成人患者における疾患 A のスクリーニング 「診断補助」と「スクリーニング」は臨床的位置づけが異なり得る。第2層の差として個別検討が必要
成人患者における疾患 A の診断補助 小児を含む疾患 A および疾患 B の診断 米国表示より広い。患者集団・適応の追加であり、追加エビデンス・当局照会が必要
成人患者における疾患 A の診断補助 疾患 A の治療に使用 診断補助から治療への変更。単なる文言差ではなく、分類・リスク・エビデンスの再評価が必要

3-4. 米国向け英語 IFU をそのまま非米国英語圏に流用する場合の注意

版数管理を簡素化したいというお考え自体は合理的ですが、完全な流用は推奨しません。

  • 米国固有記載が混入する
    • 例:「Rx only」「Caution: Federal law restricts this device to sale by or on the order of a physician.」など米国 FD&C Act/21 CFR Part 801 準拠の記載。他国では不適切または誤解を招きます。
    • 米国の連絡先・現地情報、FDA に提出した表示内容も同様です。
  • IFU 上の意図する用途・適応・使用者・使用環境・使用方法・禁忌・警告が、申請先国で承認・登録・届出された範囲と矛盾しないことが必要です(「一字一句一致」ではなく「矛盾しないこと」が実務上の判断軸です)。米国で認められているが申請先国では登録していない用途が IFU に残ると、未登録用途の表示・プロモーションと評価されるおそれがあります。
  • 国別の法定記載要求(現地代理人情報、UDI、シンボル、警告表記、言語要求)が異なります。欧州向けは MDR Annex I 第23章、英語圏でも現地語併記要求がある国があります。

推奨する運用(社内管理上の推奨)

  • 英語 Core IFU を1本作り、米国版 = Core + US 差分、第三国版 = Core + 当該国差分というモジュール構成にする。
  • Country Variant Matrix(国別差分管理表)を文書管理下に置き、改訂時に全バリアントへの影響を評価する(ISO 13485:2016 4.2.3/4.2.4/7.3.9)。
  • これにより版数の爆発を抑えつつ、国別適法性を確保できます。

4. 併せて留意いただきたい点

4-1. 「原産国」は規制上ひとつの概念ではありません

ご質問では「原産国=日本」とされていますが、規制・証明書の文脈では次が必ずしも一致しません。

  • 製造業者(legal manufacturer)の所在国
  • 最終製造(最終工程)を行う国
  • 製造所の所在地
  • 通関・貿易上の原産国
  • 証明書の発行国
  • 米国で合法的に販売されている事実
  • 申請先国における輸入者の所在国

証明書によっては、「日本で製造されたこと」ではなく「日本で合法的に販売されていること」「日本の製造販売業者が当該製品を管理していること」が発行要件になる場合があります。発行要件を証明書の正式名称ごとに確認してください。

4-2. 「日本で自由に販売できる」ことは、以下を意味しません

  • 他国で同じ用途が承認・登録されること
  • 他国で販売許可が得られること
  • 入札要件を満たすこと
  • 米国で販売できること/CFG が取得できること

この区別を社内説明資料にも明記しておくと、営業・入札対応部門との認識齟齬を防げます。

4-3. 表示・広告の範囲も整合対象です

申請書・証明書だけでなく、IFU、ラベル、製品カタログ、Web サイト、営業資料、入札提出資料、トレーニング資料に記載する用途も、申請先国で承認・登録された範囲と整合させる必要があります。米国では特に、表示・宣伝の客観的証拠から intended use が判断される旨が 21 CFR 801.4 に示されています。

4-4. 申請先国の用途が原産国の承認範囲より広い場合の選択肢

対比表の提出だけで足りるとは限りません。次のいずれか(または組み合わせ)を検討します。

  1. 申請先国当局への事前照会
  2. 原産国証明書の補足文書(承認書・認証書の写し、公式英訳)
  3. 製造業者宣言(根拠を明示したもの)
  4. 製品仕様・リスクマネジメント・性能評価・臨床評価資料の追加提出
  5. 申請先国での追加試験・追加評価
  6. 申請する用途を原産国の承認範囲内に限定
  7. 型式または国別仕様を分けて管理(第3層の差として正式に分離)

4-5. QMS 要求の国別差異

ISO 13485:2016 を共通基盤としつつ、日本の QMS 省令(医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令)、米国の品質システム規制などで差異が残ります。

米国については、21 CFR Part 820 を改正した QMSR(Quality Management System Regulation) が ISO 13485:2016 を参照により取り込む構造となり、施行日は 2026年2月2日とされています(最終規則は 2024年1月31日公布)。ISO 13485 認証を有していることだけで米国要求を満たすとは限らず、FDA 固有の要求(記録、ラベリング、苦情・MDR、査察対応等)が併存する点にご注意ください。

  • 参考:21 CFR Part 820(eCFR)
  • ※ QMSR の施行状況・経過措置の最新情報は FDA の公表情報でご確認ください(正確な URL を確認できなかったためリンクは付していません。文書名「Quality Management System Regulation」、21 CFR Part 820)。

MDSAP を活用している場合も、国別 Intended use の差は、MDSAP の適用範囲(製品範囲)の記述と整合させる必要があります。

4-6. 変更管理

いずれか1か国で使用目的を変更(追加・縮小)した場合、他国の Intended use、証明書、IFU、ラベル、対比表、広告資材すべてに影響します。変更管理手順(ISO 13485:2016 7.3.9/8.5.6)に「国別 Intended use 一覧の見直し」を必須ステップとして組み込んでください。


5. 実務チェックリスト

  • Core(グローバルマスター)Intended Use を1本定義し、承認済み管理文書としたか
  • 国別 Intended use 一覧表(国/分類コード/公式原文/英訳/差異理由/差異の層)を作成したか
  • 各国の差異を第1層(文言)・第2層(用途の内容)・第3層(製品構成)に分類したか
  • 第2層・第3層の差について、設計インプット・リスクマネジメント・性能評価との整合を確認したか
  • 使用する証明書の正式名称・発行機関・記載項目・有効期間・認証(公証/アポスティーユ)要件を特定したか
  • 申請先国・入札仕様が要求する証明書の種類と発行国を確認したか(代替可否を含む)
  • 日本の証明書の記載事項について、公式英訳を確定し文書管理下に置いたか
  • 米国 CFG を取得できる状態か(米国での法的販売状況、施設登録・リスティング)を確認したか
  • 製品名・型番・製造業者名・住所・製造所が全証明書・申請書で一致しているか
  • 申請用途が証明書の記載範囲を超える場合の補足資料(技術文書、製造業者説明書等)を準備したか
  • 英語 IFU を Core+国別差分構成にし、米国固有記載(Rx only 等)を分離したか
  • IFU・ラベル・カタログ・Web・営業資料・入札資料の用途記載が、申請先国の登録範囲と矛盾しないか
  • 変更管理手順に「国別 Intended use 一覧の見直し」を組み込んだか
  • 不明点について、申請先当局への事前照会または現地代理人への確認を行ったか

参考(一次情報源)

リンクを付していない文書(正確な URL を確認できなかったため、文書名のみ記載します)

  • 日本の医療機器輸出関係証明書(いわゆる自由販売証明書・製造販売証明書等)の発行手続に関する通知等
    ※ 証明書の種類ごとに発行機関・様式・発行要件が異なります。制度名のみで同一視しないようご注意ください。
  • 米国 FDA「Types of Export Certificates」/Certificate to Foreign Government(CFG)、FD&C Act section 801(e)(4)
  • 米国 FDA「Quality Management System Regulation(QMSR)」最終規則(2024年1月31日公布、2026年2月2日施行)
  • 医療機器の一般的名称(JMDN)および一般的名称ごとのクラス分類(厚生労働省告示)
  • 中国:医疗器械分类目录(NMPA)、医疗器械注册申请資料関連要求

免責事項

本回答は、一般的な規制実務の考え方を整理したものであり、特定の製品・申請先国に対する法的助言ではありません。特に、証明書の受理可否、Intended use の記載粒度に対する当局の運用は、国・製品クラス・規制経路・審査担当者によって差が大きく、一般論として断定できません。実際の申請・入札では、申請先国の最新規制、当局ガイダンス、現地代理人の助言に基づきご判断ください。

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