No.32EU MDR AnnexⅠの13.2および日本の基本要件基準第8条第2項の該当性について

医療機器規制全般投稿者: K2025年3月26日 18:00過去のQ&Aアーカイブより
医療機器の構成部品の一部に、動物脂肪を原料とした添加剤を含む樹脂成形品が使用されている場合、これはEU MDR AnnexⅠの13.2と日本の基本要件基準第8条第2項に該当するか?
公式回答株式会社イーコンプライアンス2026年8月22日 22:06

EU MDR Annex I 13.2/日本の基本要件基準 第8条第2項 の該当性について

結論

動物脂肪(獣脂)を原料とする添加剤を含む樹脂成形品を医療機器の構成部品に用いる場合、原則として「EU MDR Annex I 第13.2項」および「基本要件基準 第8条第2項」の適用対象(=該当する)と整理したうえで対応を組み立てることを推奨します。

ただし、次の2つは明確に分けて考えてください。

段階 内容 一般的な結論
① 条項の適用(該当性) その条文が適用されるか 適用される可能性が高い(動物由来物の「派生物」を利用して製造された機器に当たるため)
② リスク評価の結果として求められる証拠の量 どこまでの資料・管理が必要か 高度に精製された獣脂誘導体(ステアリン酸、ステアリン酸塩、グリセリン等)は、「残留リスクは無視できる」と結論づけ得るため、追加データが限定的になり得る

ここで重要なのは、②は「規制の適用が消える」という意味ではないという点です。条項は適用されたまま、リスクマネジメントの結論として「リスクは無視できる」と論証するという構造になります。

したがって実務的な整理は「該当する/しない」の二択ではなく、「該当する前提で、リスクに応じた合理的な証拠をどこまで揃えるか」です。最終的な判断は、EUでは認証機関(Notified Body、以下NB)、日本ではPMDA・登録認証機関との協議によります。


0. 全体像(EUと日本の対応関係)

項目 EU 日本
根拠となる要求事項 MDR(規則(EU)2017/745)Annex I 第13.2項(GSPR=一般安全性能要求事項) 基本要件基準 第8条第2項
具体的な運用基準 規則(EU)No 722/2012(TSE特別規則)/EN ISO 22442シリーズ 生物由来原料基準(平成15年厚生労働省告示第210号)/その運用通知
適合性を確認する主体 認証機関(Notified Body) PMDA(承認品目)・登録認証機関(認証品目)
文書化の場 技術文書(Annex II)/GSPRチェックリスト/リスクマネジメントファイル 承認・認証申請書、STED、リスクマネジメント記録

※基本要件基準は、GHTF/IMDRF(医療機器規制の国際整合を進める枠組み)の「Essential Principles」を国内制度化したものであり、EU MDRのGSPRと構成・思想がよく対応しています。


1. 前提の整理 ― なぜ「原則該当」となるのか

樹脂成形品に用いられる添加剤には、次のように牛脂(タロー)由来のものが多く存在します。

  • 滑剤・離型剤:ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム/亜鉛/マグネシウム
  • スリップ剤:ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド
  • 帯電防止剤・可塑剤:グリセリン脂肪酸エステル
  • 一部の安定剤

これらは添加剤として最終成形品中に残存するため、「製造工程でのみ使用され最終製品には残らない加工助剤」という整理はできません。したがって形式的には「動物由来材料を利用して製造された医療機器」に当たります。

※植物由来(パーム油・ヤシ油由来)のステアリン酸等も広く流通しています。まず「本当に動物由来か」をサプライヤーに文書で確認することが第一歩です。植物由来であることを証明できれば、動物由来に関する要求は適用されません(ただし確認結果の記録は保管してください)。

用語のミニ解説

用語 やさしい説明
派生物(derivative) 動物の組織そのものではなく、そこから化学的・物理的に取り出した物質。出発物質が動物由来であれば、化学変換されていても原則「派生物」に含まれるとイメージしてください。
例:牛脂 →(加水分解)→ ステアリン酸 →(中和)→ ステアリン酸カルシウム → 樹脂に添加 → 成形品。この最後まで「動物由来の派生物」として扱われ得ます。
TSE 伝達性海綿状脳症。牛のBSE(いわゆる狂牛病)などの総称で、通常の加熱滅菌では不活化しにくい病原体(プリオン)が原因とされます。
反芻(はんすう)動物 一度飲み込んだ食物を口に戻して噛み直す動物。牛・羊・山羊・鹿など。BSE等のTSEリスク評価の中心になります。
特定危険部位(SRM) BSEプリオンが蓄積しやすいとされる部位(脳、脊髄、眼、回腸遠位部など)。原料からの排除が求められます。
GSPR MDRの一般安全性能要求事項(General Safety and Performance Requirements)。日本の基本要件基準に相当します。

2. EU MDR Annex I 第13.2項の該当性

2-1. 条文の要旨

医療機器規則(EU)2017/745(MDR) Annex I 第II章 第13項は「生物由来材料を利用して製造される機器」に関する規定です。うち第13.2項は、動物由来の組織・細胞またはその派生物であって、非生存または非生存化されたものを対象としています。

要求事項の要旨
(a) 可能な限り、意図する用途に適した獣医学的管理下にある動物に由来すること。動物の地理的原産地(原産国)の情報を製造業者が保持すること
(b) 調達・加工・保存・試験・取扱いを安全に行うこと。特にウイルス及びその他の伝達性因子については、妥当性確認(バリデーション)済みの除去/不活化方法により安全性を担保すること
(c) 規則(EU)No 722/2012 の対象となる動物組織を利用する場合は、同規則の特別要求事項が適用される

※第13.1項は「ヒト由来」、第13.3項は「13.1・13.2以外の非生存生物由来物質」に関する規定です。今回のご質問(動物由来)は第13.2項が該当条項であり、この点はご認識のとおりです。

2-2. 「派生物」に当たるか

動物脂肪を化学処理(加水分解・エステル交換・けん化・蒸留など)して得られる脂肪酸やその金属塩は、動物組織から得られた材料=派生物と位置づけられます。したがって「化学的に加工されているから対象外」とはなりません。

2-3. 規則(EU)No 722/2012 との関係

委員会規則(EU)No 722/2012 は、TSE感受性動物種を用いる機器に対する特別要求を定めています。

  • 対象動物種:ウシ、ヒツジ、ヤギ、シカ、ヘラジカ、ミンク、ネコ(同規則第1条)
  • 適用除外:同規則第1条第3項により、人体に接触しない機器、または健常な皮膚にのみ接触する機器は適用対象外とされています
  • 対象となる場合は、NBによるTSEリスク評価と、加盟国所轄当局への諮問手続(TSEコンサルテーション)が必要になります
  • 原料についてEDQM(欧州医薬品品質理事会)のTSE適合性証明書(CEP)が取得されていると、手続が簡略化され得ます

したがって、

  • 動物種がブタ・ニワトリ等(TSE感受性種以外)→ 722/2012 は適用外
  • 牛脂由来であっても、当該構成部品が人体非接触/健常皮膚のみ接触 → 722/2012 は適用外

となる可能性があります。ただし、722/2012 が適用外でも、MDR Annex I 13.2 (a)(b) 自体は適用され得る点にご注意ください(13.2 (c) だけが 722/2012 に紐づく構造のためです)。

※722/2012 は旧指令(MDD/AIMDD)時代に制定された規則であり、MDR体制下での位置づけ・整合については、EN ISO 22442シリーズの改訂やMDCG文書の発出を通じて運用の明確化が進められている領域です。「規則そのものは有効だが、実務上の当てはめ方はNB・最新のMDCGガイダンスの確認が必須」とお考えください。当社としても最新の解釈状況の断定は控えます。

2-4. 高度精製された獣脂誘導体(tallow derivatives)の扱い

EMAの「ヒト用及び動物用医薬品を介した動物海綿状脳症病原体伝播リスク最小化に関するガイダンス」(Note for Guidance、EMA/410/01 rev.3、OJ C 73, 5.3.2011)では、獣脂誘導体(グリセリン、脂肪酸、脂肪酸エステル等)について、以下のような厳格な処理条件を経たものは感染性を有する可能性が極めて低い、とする考え方が示されています(要旨)。

  • 200℃以上・加圧下・20分以上のエステル交換または加水分解
  • 12M NaOH によるけん化(バッチ:95℃以上・3時間以上/連続:加圧下140℃以上・8分以上、またはこれと同等)
  • 200℃での蒸留

ここが重要な注意点です。

  • 上記は医薬品向けのガイダンスであり、医療機器に自動的に適用されるものではありません。医療機器では、規則(EU)No 722/2012 と EN ISO 22442シリーズが一次的な評価枠組みになります。
  • 実務上は、これらの精製条件を「TSEリスクが無視できることの科学的根拠(supporting evidence)」としてISO 22442-3に基づくリスク評価の中に位置づけて援用するのが一般的ですが、援用の可否・程度についてはNBと事前に合意しておくことを強くお勧めします。
  • 条件の詳細は要旨であるため、実際の適用に当たっては原文(同ガイダンスの獣脂誘導体に関する章)をご確認ください。

樹脂用ステアリン酸・ステアリン酸金属塩・グリセリン誘導体の多くは、工業的にこれらに相当する条件で製造されています。サプライヤーから処理条件の証明を入手できれば、「TSEリスクは無視できる」との論証が組み立てやすくなります。

2-5. あわせて検討すべき点:Annex VIII 分類規則18(クラス分類)

MDR Annex VIII の分類規則18は、「非生存化されたヒトまたは動物の組織・細胞またはその派生物を利用して製造される機器はクラスIII(動物由来物が健常皮膚のみに接触する場合を除く)」と規定しています。

文言を字義どおり読むと、微量の獣脂由来添加剤の存在がクラスIII該当を招きかねない、という論点が生じます。実務でNBと議論する際の主な観点は次のとおりです。

観点 議論の方向性
派生物が機器の意図する性能・機能に寄与しているか 寄与していない(成形性のための微量添加剤にすぎない)→ 規則18の趣旨に照らし適用しないとの整理が取られることが多いと理解しています
患者への曝露の有無・程度 人体非接触/健常皮膚のみ接触 → リスクが極めて限定的
精製度・不活化条件 高度精製品であれば残存感染性は事実上想定しがたい

ただし、これはMDCG 2021-24(分類ガイダンス)の解釈を含め、NBの判断に幅がある領域です。当社として結論を断定することはできませんので、必ず事前にNBへ照会し、その回答を記録として残してください(後の審査での立証資料になります)。


3. 日本の基本要件基準 第8条第2項の該当性

3-1. 条文の位置づけと構造

基本要件基準(「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第41条第3項の規定により厚生労働大臣が定める医療機器の基準」平成17年3月29日厚生労働省告示第122号、その後改正)の第8条は「微生物汚染等の防止」に関する条文で、おおむね次の構造になっています。

内容の概要
第1項 医療機器一般に対する微生物汚染防止(設計・製造上の配慮)
第2項 動物由来の組織・細胞・物質(動物由来組織等)を利用した医療機器に特有の要求事項
以降の項 ヒト由来物、微生物汚染管理、包装・滅菌等に関する要求

第2項が求める内容の骨子(要旨)は次のとおりです。

  • 動物種・原産国等の情報の把握と、獣医学的な管理・監視
  • 感染因子(ウイルス、TSE病原体等)に関する妥当性確認された除去・不活化措置
  • 上記に関するトレーサビリティ(記録の追跡可能性)

これはEU MDR Annex I 13.2 と実質的にほぼ対応した要求であり、動物脂肪由来添加剤も「動物由来の物質」に含まれると解するのが安全側の判断です。

※条文の正確な文言は告示原文をご確認ください。当社の記載は要旨です。

3-2. 生物由来原料基準との関係

日本では、基本要件基準第8条第2項への適合を具体的に示すために、生物由来原料基準(平成15年5月20日厚生労働省告示第210号)への適合が問われます。

基準 概要
反芻動物由来原料基準 牛・羊等の反芻動物(胃で食物を反芻する動物)由来原料について、原産国のBSEステータス、使用部位(特定危険部位=SRMの排除)等を規定
動物細胞組織原料基準 動物の細胞・組織を原料とする場合の、採取動物の管理、感染因子の否定、記録の保管等を規定

押さえておくべきポイント

  • 生物由来原料基準は、最終製品に残存するものだけでなく、製造工程で使用される原料・材料も対象とされています。
  • 牛脂由来のステアリン酸等については、原産国・使用部位・製造工程条件(高温・強アルカリ処理・蒸留等)を示すことで適合性を説明するのが一般的です。
  • 生物由来原料基準は、医薬品・医療機器・再生医療等製品に加え、体外診断用医薬品(IVD)にも適用され得ます。IVD製品を扱われる場合も同様に確認が必要です。
  • 改正が継続している基準です。 反芻動物由来原料基準の対象国(BSEステータス)の見直しなど、近年も改正が行われています。必ず最新版(直近改正)を官報・厚生労働省サイトで確認してください。「平成15年告示のまま」という前提で判断しないようご注意ください。

3-3. 運用通知の位置づけ

「生物由来原料基準の運用について」(平成26年10月2日 薬食審査発1002第1号ほか、その後複数回改正)は、告示の解釈・運用を示す行政通知(公式な解釈文書)です。したがって、

  • 通知に記載のある事項については、原則としてこれに従って対応する
  • 通知に記載のないケース・判断に迷うケースは、個別に照会する

という使い分けになります。

※上記通知はその後も改正されている可能性があります。参照の際は必ず最新の改正版をご確認ください。

3-4. 承認・認証申請上の実務

  • 申請書「原材料」欄への記載、および生物由来原料基準への適合性を示す資料(動物種・原産国証明、使用部位、製造工程における不活化・除去処理の説明)が必要となる場合があります。
  • ただし、これをもって直ちに薬機法第2条第10項の「生物由来製品」に指定されるわけではありません(指定は厚生労働大臣が個別に行います)。
  • サプライヤー変更・原料切替時は、変更管理(軽微変更届/一部変更承認の要否判断)が必要です。
  • 判断に迷う場合はPMDAの相談制度の活用を:品目の段階に応じて「簡易相談」「対面助言(事前面談を含む)」などのチャネルがあります。生物由来原料基準の適合性のような論点は、申請前に照会し、回答内容を記録に残しておくことで、審査での手戻りを防げます。

4. 該当性判断のフロー(アウトカム付き)

① 添加剤は本当に動物由来か?
   ├ 植物由来/合成 → EU 13.2・基本要件8条2項の動物由来要求は【非該当】
   │
※ サプライヤー証明書を保管し、根拠として残す └ 動物由来 → ②へ ② 動物種は? ├ 反芻動物(牛・羊・山羊・鹿)→【TSE評価が中核】EU規則722/2012の対象候補 │ +日本:反芻動物由来原料基準の対象 └ ブタ・ニワトリ等 →【722/2012は対象外】ただしウイルス安全性の評価は必要 +日本:動物細胞組織原料基準等の考え方を確認 ③ 人体接触の有無・接触部位は? ├ 非接触/健常皮膚のみ接触 →【722/2012は適用除外の可能性】 │ +MDR Annex VIII 規則18のクラスIII除外も検討可 └ それ以外(粘膜・体内・血液接触等)→【722/2012の適用可能性高】NB協議必須 ④ 製造工程は高度精製条件を満たすか? ├ 満たす(けん化・蒸留・高温加水分解等)→【残留リスク「無視できる」と論証しやすい】 └ 不明 →【サプライヤー調査が必須】情報が得られなければ原料変更も選択肢 ⑤ ①〜④の結果を、ISO 14971のリスクマネジメントファイルに文書化 →【GSPRチェックリスト13.2/申請資料に紐づける】

5. サプライヤーへの確認事項(推奨チェックリスト)

# 確認項目 目的
1 添加剤の由来(動物/植物/合成)の別 該当性の一次判定
2 動物種(牛・豚・羊 等) 722/2012・反芻動物由来原料基準の適用判断
3 原産国(動物の飼育国・と畜国) BSE等のリスクステータス評価
4 使用部位(特定危険部位(SRM)の不使用証明) TSEリスク低減の根拠
5 製造工程条件(温度・時間・pH・圧力、蒸留の有無) 不活化・除去の妥当性論証
6 EDQMのTSE適合性証明書(CEP)の有無 EU手続の簡略化
7 TSE/BSEフリー宣言書、ISO 22442適合宣言 技術文書の証拠
8 樹脂中の添加量(%)と残存形態 曝露量評価
9 供給変更時の通知取決め(品質取決書への反映) 変更管理

※二次サプライヤー(樹脂メーカーのさらに上流の添加剤メーカー)まで遡らないと情報が得られないことが多いため、早めに着手してください。


6. 整備すべき文書・規格

規格・文書 内容
EN ISO 22442-1 動物組織利用医療機器のリスクマネジメント
EN ISO 22442-2 調達(ソーシング)、採取、取扱いの管理
EN ISO 22442-3 ウイルス及びTSE病原体の除去・不活化のバリデーション
ISO 14971(JIS T 14971) リスクマネジメント全体(上記を統合)
ISO 10993-1(JIS T 0993-1) 生物学的安全性評価(動物由来要求とは別軸。両方必要)
MDR Annex II 技術文書(GSPRチェックリストに13.2の適合根拠を記載)

※EN ISO 22442シリーズは、MDR下での整合規格(harmonised standard)としての指定・更新が順次行われています。NBは最新のEN版への適合を求める傾向が強いため、欧州官報(Official Journal)に掲載される整合規格リストで最新の版・指定状況を必ず確認してください。

6-1. リスクマネジメントファイル(RMF)に収めるべき代表的エビデンス

  1. 動物由来物の特定書(どの部品の、どの添加剤が、どの動物種由来か)
  2. サプライヤー証明書(由来・動物種・原産国・部位・製造工程条件・CEP等)
  3. TSE/ウイルス安全性評価書(ISO 22442-1/-3の枠組みでの評価)
  4. 曝露評価(添加量、接触部位、接触時間、想定される移行量)
  5. 残留リスクの評価とリスク・ベネフィット判定
  6. 適用した規制・規格の該当性判断の根拠(NB・PMDAへの照会記録を含む)
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6-2. GSPRチェックリストの記載例(EU)

GSPR 適用 適合の根拠 参照文書
13.2 (a) Applicable 添加剤はウシ由来ステアリン酸カルシウム。原産国は○○(OIE/WOAHのBSEリスク区分:無視できるBSEリスク国)。サプライヤー証明書により獣医学的管理下の原料であることを確認 SUP-CERT-001 / RMF-05
13.2 (b) Applicable けん化(12M NaOH、○℃・○時間)および蒸留(200℃)工程により感染性因子が不活化・除去されることを評価。ISO 22442-3に基づき評価 RMF-05 / TSE-RA-01
13.2 (c) Not applicable 当該部品は患者非接触部位(筐体内部)であり、規則(EU)No 722/2012 第1条第3項により適用除外 RMF-05 / NB照会記録 NB-Q-2024-xx

※ポイントは、13.2 を安易に「Not applicable」としないことです。「Applicable ― ただしリスクは無視できる/この部分は適用除外」と根拠を明記し、証拠文書を紐づける方式のほうが、審査上のトラブルが少ない実務対応です。


7. まとめ

  1. 形式的には、EU MDR Annex I 13.2 および基本要件基準第8条第2項の双方に「該当する」前提で対応するのが安全です。動物脂肪から化学的に誘導された添加剤も「派生物」に含まれ得ます。
  2. ただし、該当=重い規制対応、ではありません。 高度に精製された獣脂誘導体であること、患者への曝露が限定的であることを示せれば、「残留リスクは無視できる」と結論づけ、必要な追加データを大幅に絞れる可能性があります。
  3. 最初にやるべきことは、サプライヤーへの由来確認です。植物由来と判明すれば論点自体が消えます。
  4. EU規則722/2012は「人体非接触/健常皮膚のみ接触」なら適用除外の可能性がありますが、それでも13.2(a)(b)自体は残り得ます。MDR下での722/2012の当てはめは運用の明確化が進行中の領域であり、NBへの事前照会が必須です。
  5. EMAの獣脂誘導体ガイダンスは医薬品向けです。医療機器で援用する場合は、ISO 22442の枠組みの中に位置づけ、NBと事前合意してください。
  6. 日本の生物由来原料基準・その運用通知は改正が続いています。 必ず最新版を確認し、判断に迷う場合はPMDAの相談制度を活用してください。
  7. NB・PMDAへの照会内容と回答は、必ず記録として保管し、技術文書・申請資料と紐づけてください。

本回答の限界について

本回答は、一般的な規制解釈と実務経験に基づく整理であり、個別品目に対する規制当局・認証機関の判断を保証するものではありません。特に以下の点は解釈に幅がある領域であり、当社として断定を避けています。

  • MDR Annex VIII 分類規則18の、微量添加剤への適用可否
  • MDR体制下における規則(EU)No 722/2012 の具体的な当てはめ
  • 高度精製された獣脂誘導体に対する、日本の生物由来原料基準上の取扱い

実際のご判断に当たっては、該当条文・通知の原文の確認と、NB・PMDA/登録認証機関への事前照会を必ず実施してください。

株式会社イーコンプライアンス

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