No.81QMSシステム構築について
現在、当社では○○用途の医療機器(クラス○想定)の開発を行っており、開発ステージとしてはコンセプト設定および実現可能性の検証段階にあります。
この段階で複数回にわたり外部委託先へモック品・試作品の作製を依頼しておりますが、
QMS省令およびISO 13485 に基づく品質マネジメントシステムの構築が未完了であること
JIS T 14971(ISO 14971)に基づくリスクマネジメントを十分に実施できていないこと
委託先への要求事項がドラフトレベルのままであり、設計要求・変更履歴・試作結果の記録が社内で体系的に管理できていないこと
といった課題を抱えております。
一方で、薬機法に基づくQMS省令では、製造販売業者等に対して、品質管理監督システムの文書化および製造・試験等に係る記録の作成・保管が求められていると理解しております。
【ご相談したい点】
上記のように、開発初期段階であっても、外部委託先に試作を依頼する場合には、
最低限どの程度のリスクマネジメント(例:ハザードの洗い出しと簡易なリスク評価)
どの程度の設計・試作記録の作成および社内保管
が求められると考えるべきか、ご教示いただけますでしょうか。
現状のように「QMSが未構築である」ことを理由に、設計・試作・リスクに関する記録を外部委託先任せとし、社内に十分な記録を残さない運用を継続した場合、将来的なQMS適合性調査や承認申請審査において、不適切と判断されるおそれが高いと理解してよいでしょうか。
スタートアップ企業が、開発初期からでも実施すべき最低限のQMS(文書管理・記録管理・リスクマネジメント)の構築ステップや、自治体・PMDA等で利用可能な支援・相談メニューがあれば、併せてご教示いただけますと幸いです。
当社としては、安全性と将来の薬事申請の妥当性を確保する観点から、早期に適切なQMS体制と記録管理の仕組みを構築したいと考えております。
そのための考え方や優先順位付けについて、アドバイスを頂戴できれば幸いです。
公式回答株式会社イーコンプライアンス2026年1月2日 06:17
1. 開発初期段階における最低限の要求事項
リスクマネジメントについて
開発初期段階(コンセプト設定・実現可能性検証)であっても、ISO 14971の基本的なアプローチに基づき、以下の実施を強く推奨いたします。 まず、意図する使用/意図する目的の文書化が必要です。どのような患者に、どのような臨床状況で、誰が使用するのかを明確にすることで、ハザード特定の基盤となります。 次に、予備的ハザード分析(PHA: Preliminary Hazard Analysis)として、網羅的である必要はありませんが、想定される主要なハザード(エネルギー源、生体適合性、使用エラー等)を洗い出し、重大なリスクについては初期評価を行っておくべきです。 さらに、試作品の用途・限界の明確化として、モック品・試作品が臨床使用を想定したものか、形状確認のみか、機能検証用か等の位置づけを明確にし、委託先にも伝達すべきです。 この段階では完全なリスクマネジメントファイルは不要ですが、上記の検討結果を文書として残すことが重要です。設計・試作記録について
QMS省令第30条(設計開発)およびISO 13485:2016 第7.3項は、設計開発の各段階でのインプット、アウトプット、レビュー、検証、妥当性確認の記録を要求しています。開発初期段階であっても、以下は最低限記録として残すべきです。- 設計インプット記録: 試作品への要求事項(たとえドラフトであっても、その時点版として管理)
- 変更履歴: 要求事項の変更理由と内容
- 試作結果: 委託先からの納品物の評価結果、発見された課題
- 設計レビュー議事録: 社内での検討内容(簡易なものでも可)